昨日の2月10日(火)に、ニューヨークにあるジャパンソサイティーというところで、武者小路千家の千宗屋若宗匠の「Modern Teaism」講演会がありました。
私の着付け教室に通ってくださっている生徒様から誘っていただき、ご一緒に見に行ってきました。
午前中に茶道の稽古をしたあとだったので、いろんな点で気付きや、また新しい今の生活においての茶の位置づけと利休に戻れる心など、その伝統と創造性に素晴らしさを感じました。
生徒様から、若宗匠が着ている羽織(十徳)について質問がありました。とても涼しげで「絽」の羽織に見えたそうです。
私は、「十徳」と言う言葉が出てこなくて、「お坊さんが着ているようなもので、茶道での決まりのようなもの」と簡単に答えてしまいましたが、私自身が茶道の装いを「あー言うものなのだなー」と思うだけで、普段、説明が出来るほどには考えたことがないことに気がつきました。
帰ってきて、具体的に説明が出来るように「茶道での男性の装い」について調べました。
奥が深いというか、女性が茶会で着物を着る時より、男性の着物はとてもシンプルなだけに間違いが目立ってしまうので、知っておかないといけないことだらけでした。
生徒様からのご質問にあった若宗匠の着ていた羽織(十徳)についてですが、
「十徳は、鎌倉時代頃より様々な変遷をたどり、現代では僧侶や茶道の宗匠などが用いる姿しか見かけません。独特の形状をした広袖の羽織で、前を止める紐も直に縫い付けてあります。」とのことです。稽古をしなければならない身分の間は羽織が着られないそうです。
十徳を家元が着ている姿を見たことがありますが、確かに日本での茶会では、男性が十徳を着ている姿をほとんど見かけたことがありません。
では、男性の茶会の着物と言えば、「色無地」後染めの着物に染め抜きの紋を入れて、袴は「仙台平」の縦柄の袴が正式な茶会の装いです。でも、カジュアルな茶席では、先染めの「お召し」の着物で充分です。
ただ単に「茶会」と言っても、茶会の格式により装いの違いがあります。格式には「真行草」に分類されるそうです。この格式の分類については、こちらのwebページがとても参考になります。(女性の装いですが)
きもの倶楽部 きもの豆知識 着物のTPO茶道は総合芸術だとおっしゃる人もいます。着物一つとってもいろいろとあるのだなって思います。面倒に思える人もいるかもしれませんが、それもまた「楽しさ」にしてしまえば広がりある世界に見えると思います。
でも、そのスタイルにだけに固執することなく、若宗匠が講演会でも「茶の世界が今の生活から離れすぎてもいけない」と言うお言葉がありまして、「着物を着なくてはいけない、正座をしなくてはいけない」というスタイルにこだわりすぎて真の茶道の楽しさから離れてしまうのも確かに違うように思います。
私が茶道をはじめて間もない時に「茶会」と言う場での着物の装いがイメージがつかなく、ほとんどの人が着物を着て来るような茶会でも、はじめは洋服でうかがったことが何度かありました。それでも皆様が優しく対応してくださって、「もてなしの心」、逆に洋服で伺って茶道の本質的な姿に触れられたような気がしたことがありました。
それからは、茶道がとても楽しくなり、週に一度の稽古ですが季語などを考えていくので、普段意識しないでいた季節を感じるようになりました。生活の中で季節を意識して感じていると、自然と「新緑がまぶしいから、絽の着物をもうそろそろ出そうかな。若葉色の着物を着よう」とか、気がついたら着物も楽しめるようになっていました。
きっと、何が良くて何がダメってなくて、今の生活の中で茶道の世界観を感じられる距離感を自然とつかめれば楽しみ方は無限大なのかもしれないと思いました。宇宙の存在を感じられるほどの利休の世界観を、いつか少しでも感じられるだけになれたらいいなって思います。
男性の着物の装いで、参考になる本
「
銀座もとじの男のきもの」 監修 泉二弘明 世界文化社
「
男のきもの着こなし入門」 指導 笹島寿美 世界文化社
「
男のきもの 雑学ノート」 著者 塙ちと ダイヤモンド社